2014年6月30日月曜日

アロワナ調査No.2-9(プノンペンに帰って)

 
調査後の翌日はプノンペンの水産庁研究所で
 
データ整理などをしました。
 
その前にプノンペンの市場を2か所散策してきたのですが、
 
思わぬ魚に出会いました。
 
それがこの赤い魚です。
 
アクアリストの方はよく知っているキッシンググラミー(の赤バージョン)ですよね。
 
 
天然分布はカンボジア・タイ・インドネシア・マレーシアとなっていますが、
 
14年間採ったことがないんです。
 
この手の魚ならたくさんいるはずなので、
 
出会っていると思うのですが・・・
 
情報ではベトナムで養殖がされているとのことなので、
 
その個体群が養殖魚としてカンボジアに入って来た可能性が高いのですが、
 
在来魚として扱うか悩んでいます。
 
気持ち的には外来魚のカテゴリーかな?と思っているので
 
その扱いでやっていくつもりですが、
 
悩める魚です。
 

 
この魚を売るお店を見ても、
 
天然魚と一緒に売っているので、
 
余計混乱します(笑)
 
他のお客さんの反応を見ましたが、
 
「これはなんていう魚?」と知らない人が多いようでした。
 
お店の人も「赤魚よ!」とありきたりな名を言うだけ・・・
 
見つけたのは嬉しいですが、
 
困りもんですね(笑)
 
買った個体は水産局にお土産として引き渡してきました。
 
パナラーさんあたりに情報収集してもらい、もっと調査が進むといいですね。
 
 
 
その他には以前市場シリーズでも紹介したPangasius krempfiです。
 
パンガシウスの仲間ですが、
 
独特の体つきでシブい魚です(笑)
 
パンガシウス属は歯型でだいたいの種がわかりますが、
 
この魚は尾びれが黄色く染まることや
 
スレンダーボディーで大型の個体しか見られないことなどから、
 
一発でわかる魚です。
 


 
長尾財団さんの調査によると、
 
下流のメコンデルタエリア(ベトナム)には小さい個体がたくさんいるとか!!
 
これまで散々カンボジアでは魚チェックしていますが
 
まだこの魚の未成魚や幼魚は見ていません。
 
同じグループの魚たちでも
 
これほどまでに生活史が違うんですね。
 

 
 
そして、ワシントン条約付属書1(CITES1)にランクされている
 
コイ科のProbarbus jullieniです。
 
この魚も以前紹介しましたが、意外と多いんですよね~。
 
日本にもタイなどで養殖された個体が流通していますが、
 
養殖個体はちょっと頭部の形状がおかしいように思えます。
 
同じサイズの天然個体とは違いますね。
 
でも、こうして売られるくらい資源があるってことは
 
逆に有難いことですよね。
 

 
こちらはカンダール市場の様子ですが、
 
10年前に比べるとエリアが拡大されています。
 
人工増加に伴っているのでしょうかね。
 
魚コーナーがまとまっていないことが残念です(笑)
 
この日は相当歩かされました(笑)
 

 
今データ整理で頭を悩ませている魚が
 
このタイヤトラックスパイニールです。
 
同じような姿をした種が2種いるので
 
同定するのが大変です。
 

 
しばらく、数か月はデータ整理に追われそうです。
 
しかも、この1年は次々に新たな種が見つかっているので
 
情報を更新するだけで頭の中がパンパンです(笑)
 
 
こんな時にスタッフがいるといいなーなんて思っちゃいますね!
 
 
とにかく、やらな!進まないのでガンバリマス!
 
 
 


2014年6月28日土曜日

アロワナ調査No.2-8(コッコンの町市場調査)

今回のミッションを終えてから、
 
せっかくカルダモンまで来たという事で
 
タイ国境の町コッコンへ足をのばしてきました。
 
 
その途中でもちろん!魚採りもしましたよ~!
 
 
昔はここまで来るのに大きな川を船で渡ってガタガタの道をひたすら
 
進まないとコッコンへ行けず、

雨季には急な坂がドロドロになり、車の大渋滞が起きて、

ブルドーザーが一台一台引っ張ったりしていたんですよ。
 
自分自身の体力がない時はシアヌークビルから船で行ったりもしましたが、
 
道路が整備されて以降、簡単に行くことができるようになりました。
 
時代は変わるものですね。



 
そんな中、まず入ったのはこの小河川。
 
すごく魚がいそうなのですが、
 
いたのは山間部の渓流にすむ小型のライギョの仲間Channa gachuaだけ・・・
 

 
もう10年以上通っている道沿いなので
 
乾季に水があればほぼ確実に調査しているはずなのですが、
 
初めての場所だったので、もしかすると、
 
乾季は水がほとんどない河川なのかもしれませんね。
 
いつも乾季に水がなければスルーするので・・・
 
そう考えると、魚がいない理由もわかります。
 
でも、9月10月頃になれば
 
魚も登って来るのである程度いるのかも・・・
 
なんてことを今回は想像しながら水域を見ていました。
 

 
そして、2か所目はさらに魚がいない水域で
 
全く姿さえ見れませんでした!

こんなにきれいで水があるのにー!
 
これが熱帯モンスーン地域の落とし穴なんですよね。
 
気候や地形、季節などを総合して水域を見ないと
 
的確な判断ができなくなります。
 
今回は良い経験となりました。




 
こちらは前回のアロワナ調査の後で
 
入った河川で14年前から個人的には好きなポイントです。
 
5月は水位も低く、淡水域と汽水域がハッキリわかれるポイントでしたが、
 
水量が多く、5月に見られた魚も見られず、
 
魚類相も変化しているようでした。
 
そうした意味では面白い水域ですよね。
 

 
 
そして、コッコンの町に泊まった翌日には
 
市場を散策して魚のチェックもしてきました。
 

 
シェムリアップにいると見れない魚たちが
 
ここではたくさん見ることができます。
 
下の魚はサバヒーの名で有名なChanos chanosです。
 

 
こちらは今回の調査で紹介したトライ・クマウこと、
 
Tor tambroidesです!
 
これくらい大きいと貫禄があってカッコイイですよね。
 




 
そして、いつも出会える一般魚ですが、
 
僕の好きな魚ベスト10に入るラテス(Lates calcarifer)です!
 
親戚にあたるアカメが日本の四国や九州の一部に生息していますよね。
 
この個体はたぶん天然個体ですね!
 
700mmSLくらいあったので、
 
TL(全長)だと800mmくらいありそうですよね。
 
マジでカッコイイです。
 
タイでは釣ったことがありますが、
 
カンボジアでいつかゆっくりこの魚だけを探しながら釣りをしてみたいものです(笑)
 




 
そして、お次はクドいくらい最近登場する魚ですが(笑)、
 
ダトニオに近縁とされるマツダイの成魚です!
 
この魚を見ると、ダトニオを思い出してしまします(笑)

横縞があるともっとダトニオっぽいのですが・・・(笑)

美味しそうですね。
 


 
他にもいろいろと魚がいましたが、
 
全部載せるとながーくなるのでこのくらいに・・・
 
 
 
 
 
次は少しネタを変えて・・・
 
 
帰り道、見つけた「ゾウに注意!」の道路標識です!
 
 
いくつか峠を挟んで見つけましたが、
 
一つ気になることが・・・
 
同じエリアでも片側車線にあっても、
 
反対車線にはどこも看板がないんです!
 
経費削減なのか?
 
そっち側からゾウは来ないのか??(そんなことはないですよねー)
 
今度行くときはもう一度チェックしてみようと思っています(笑)
 

 
 
 
 
 
さらに、今回最後の採集ポイントがここです!
 
ここは以前から知っているポイントで
 
ちょっと変わった魚たちがいるので季節も違う事からやってみました!
 

 
いろいろな魚たちが採れました!!
 

 
こうして、今回の調査は何とか無事に終えることができました!
 
全ては安全第一からですからね。
 
 
 
 
 


アロワナ調査No.2-7(別のアロワナ情報)

 
今回の新天地でのアロワナ調査は聞き取りや現地の環境など
 
いろいろと収穫がありました。
 
また、この新たな水系で2個体のアロワナが手に入ったのも大きな収穫でした。
 
 
でも、訪問時期が良くなかったので
 
今年の情報を分析しながら来年の調査でさらに多くの情報が得られるように
 
準備していきたいと思っています。
 
 
 
 
 
そして、村を離れる朝
 
1日連れまわしてしまったカメを出会った山に返してきました。
 
 
日本でも輸入された個体が販売されているようで、
 
このサイズだと4万円もするそうです。
 
それだけ貴重なカメなんですよね。
 

 
カメは魚とは違って
 
水のある場所だけが生息環境ではないので、
 
森全体が生息地です。
 
この日の晩にふと!思ったのは、
 
これだけ広い森の中でよく相棒を見つけられるなーと思いました。
 
決して早く歩けるわけでもないので
 
そうそう仲間と出会う機会なんてないんですよね。
 
だから、アロワナもそうですが、
 
生きものって不思議ですよね。
 
人間以上にそのあたりは強いんでしょうね。
 

 
さて、そうこうしているうちに、
 
前回調査をした水系の漁師さんから連絡が入り、
 
手元にアロワナがいるので買わないか?との事!
 
2時間ほどでいける場所だったので
 
タイへ売られる前に引き取ることに。
 
待ち合わせの場所にきてくれた漁師さんのバイクのカゴにアロワナが!!

 
さすがに水量も増え、魚も成長してきたようで、
 
最近はほとんど採れないそうです。
 
酸素パッキングをしてじっくりと見てみると、
 
1個体はこれまでで最大サイズの約150mmSLで
 
もう1個体はこれまでで最少サイズの58.5mmSLでした。
 
おそらく、思っている以上に親魚の数もいるのでしょうね。
 
採集したプールの名もわかっているので
 
漁師さんからデータを収集して持ち帰りました。
 

 
さらに、翌日違う漁師さんから1個体追加で引き取ったので
 
今回は計5個体のアロワナを確保できました。
 
 
さらに魚が増えたので
 
これからの飼育が大変そうです(笑)
 


アロワナ調査No.2-6(アロワナ調査へ)

 
なんとかドライバーさんの情報でもう一つの
 
パトロール隊がいるキャンプへ到着することができました。
 
ここへ来るときももちろん!山ビルに襲われました(笑)
 
 
日本でも山間部でイワナやアカザを採集しに行くと、
 
時々、山ビルが身体に付きましたが、
 
ごく稀なのでそれほど気になりませんでしたが、
 
ここは別格でした!毎回毎回スゴイデス。
 
 
このキャンプに限らず、
 
カルダモン山脈エリアはまだまだ自然がそのまま残っているので、
 
その気候に合わせて天然のシダやコケ、ランなどがいたるところに自生していました。
 
本当にキレイな森です。
 
それは森そのものを見なくても、
 
魚屋目線だと、川を見ただけでもわかるくらいです。
 
昨日、アップしたカメもその証拠ですよね。
 

これまでランなどの植物はたくさん見てきましたが、
直接花を咲かせているところは始めてみました!
密かに一人で興奮してしましました(笑)
キャンプ地にいたパトロール隊の人たちは
 
僕らが現れてもかまえることなく、自然な空気で対応してくれました(ホッとしました)。
 
先ずは今回の調査の話をしながら、
 
お兄さんが晩ごはん用に焼いていた魚をチェック(笑)
 

 
コイ科のPoropuntiusとLobocheilosでした!
 

 
そうこうしている間に、
 
おじさんが案内人としてすでにスタートしていました(笑)
 
みんな荷物を持っていこうとすると、
 
「途中で腰くらいまで水に入るよ!」と・・・
 
急いで服を脱いだり、
 
荷物を減らしたり・・・
 
防水バックに詰め替えたり・・・
 
準備を整えて今度こそアロワナ採集へ出発です。
 

僕目線で足元を見た感じです。
この後数秒後に腰まで浸かりました。
 
こんな感じのエリアを突き進みました。
 
それでも、みんなアロワナがいる場所へ行くので気合十分でした!
 

 
やはり、川辺は雨季で増水しているので
 
普段は陸の場所がすっかり浸かっています。
 

 
すぐ横は激流でとてもではないけれど
 
入ることはできない水域でした。
 

 
しばらく歩くと、
 
おじさんが草むらの浸水した浅瀬を観察しだしました。
 
聞いてみると、
 
「こんな場所にアロワナの子供がいるんだ!」
 
と教えてくれました。
 

 
やっと本流の落ち着いた場所へ出たので、
 
見渡すと、すぐ上流側には段差があり、
 
その下の一部が緩やかな水域となっていました。
 
 

 
下のポイントに差し掛かった時、
 
おじさんが「いたぞ!」と声をあげました。
 
みんなで近づくと、
 
いましたーー!
 
前回の調査の時と同じサイズ(100mmSL前後)の幼魚が
 
水面近くの浅い場所で泳いでいます!
 
やはりここでも浅い流れの緩やかな場所で

幼魚は育っているようでした。
 
前回は夜間でしたので、
 
昼間(まだ明るい時間帯)に見たのは今回が初めてです!!
 
急いで撮った写真が下の写真ですが、
 
写っていませんでした(笑)
 
写真よりもとにかく採集しないと始まらないので
 
採集開始です!
 
一度深い場所へ逃げてしましましたが、
 
また浮いてくるのを待つことに・・・
 

雨季という事で普段使っている一眼レフカメラは持参してこなかったので
コンデジで対応しましたがやはり難しいですね。
思うような撮影ができませんでした。(くぅー!)

もう一度、採集場所の写真をアップします!
 
簡単に言うと、アロワナ生息水域全体ではなく、幼魚の生息場として見ると、
 
アロワナだからといって特別な水域かというと、
 
決してそうではなく、他のラスボラやハンパラなどの魚たちが好む
 
ながれの緩やかな水域で生活していたんですね。
 

 
アロワナは他の場所へ逃げてしまう事はないと思ったのと、
 
まだ明るい時間帯だったのでこの時間を無駄にしたくないという思いから、
 
僕は本流側で一か八かの釣りを30分ほどやってみました。
 
 
この写真はダニエルさんが撮影してくれたものです!
 
普段調査に行っても自分の写真って撮りたくても撮れないので
 
とても嬉しかったですね(笑)
 
記念になります。
 
 
でも、肝心の成魚釣りは不発に終わりました。
 
いれば出るだろうと思える場所をいくつかのルアーで通してみましたが
 
残念でしたっ!
 
いれば出たと思うのですが、
 
このプールのサイズが他のプールより小さく、
 
瀬の割合が大きいエリアだったのでポイント的にちょっと厳しかったですね。
 
もう少し大きなプールだったら個体数も多く、
 
出た可能性はあったと思います。
 
釣りは次回に持ち越しですね。
 
 
上の写真もダニエルさんが撮影してくれたものです。
 
写っているのはプノンペンの水産庁で働くパナラーさんです!
 
このプロジェクトではいつも一緒でとても良い性格のおじさんです!!
 
魚の事をよく知っているスペシャリストです。
 
アロワナが浮いてくるのをじっと待っているときのものですね。
 
 
 
 
そして、釣りをしている最中に(笑)他のメンバーが
 
浮いてきたアロワナがとうとう採集してくれました!
 
その場にいなかったのはちょっと悔やまれますが(笑)、
 
採れたことにホッとしました!!

 
その後も近くの沢で一個体採取できたので、
 
2個体のアロワナが採れました!
 

 
やっぱり、何度見てもいいものですね。
 
ホントにきれいで野生個体が放つ強さみたいなものを感じます。
 


 
この水系のアロワナのデータはまだほとんどない状態なので
 
今回の調査で得られる情報はとても重要です。
 
 
研究所に持ち帰って先日、
 
麻酔をかけてDNA用の鰭サンプルを採取も完了しました。
 
 
このプロジェクトでは
 
魚そのものの情報データ収集と共に
 
アロワナの生息地である水域環境を保全することも検討中で、
 
それぞれの土地にあった対策を見出さなくてはいけません。


 
 
これまでの環境保全では「そのまま守る」というテーマに沿って
 
行われる例が多いのですが、
 
このスタンスでは受け身になってしまうので弱点もあります。
 
 
そうした中、
 
今検討中の保全策はそれとは対極的かもしれませんが、
 
「攻めることで守る」というタイプの保全策です。
 
 
まだまだ検討しながら慎重にやらなければいけない作業ですが、
 
 
じっくりと
 
 
魚・自然環境・人間社会と未来をしっかりと見極めながら
 
やっていきたいですよね。
 
 
 
 
余談ですが、この姿勢って
 
この4年間のサッカー日本代表のチームスタイルと似ているような・・・
 
僕はこの代表が大好きでしたので、続投を希望していたんですが・・・
 
 
もう少し型にとらわれない目線が
 
日本人にもあれば違った結果になったかもしれませんね。
 
今回のサッカーについては
 
思い出すと涙が出てきます。
 
もう一度頑張ってほしいですね。
 
僕はあきらめずに応援しますよ!!