2014年4月30日水曜日

市場の魚シリーズ93(Hemiculter leucisculus)

 
スゴく久しぶりの市場の魚シリーズです。今回は93回目となりますが、
 
コイ科のHemiculter leucisculus(ヘミクルター・レウキスクルス)を少しご紹介いたします。
 
 
 
このHemiculter leucisculus(ヘミクルター属)ですが、
 
実はメコン水系にいるとは思ってもいなかった魚なんです。
 
ただ単に知識不足だったといえばそれまでなのですが・・・
 
 
 
この魚は以前仕事をしていた琵琶湖博物館の中国水槽コーナーで飼育展示していたため、
 
僕自身、馴染みのある魚で、中国へ採集調査へ行ったときもこれらの仲間を採集して、
 
集めたこともあるので、このグループは長江などの中国や、
 
ロシア方面の魚だと決めつけてしまっていたんですね。
 
琵琶湖博物館の展示水槽
 
 
 そんな魚ですが、
 
今年初めに訪問したプノンペンの水産庁の液浸標本収蔵庫で
 
標本を見つけて驚きました。
 
確かに、メコン上流部は中国エリアですし、
 
大陸の魚とインドシナの魚が混ざり合うエリアでもあります。
 
 
よくよく考えれば、
 
タナゴの仲間(Acheilognatus属)もメコンにいますから、
 
いてもおかしくないのでしょうが、ホントに驚きました。
 
 
しかも、メコンとはいっても、
 
遥か数千キロ下流のカンボジアですからね。
 
でも、カンボジアでは実際にかなりレアな魚です。
 
もし、この魚がいれば見慣れた魚なので僕は
 
絶対に見逃さないですからね。
 
きっと、上流からごく少数の個体群が流下してきたのでしょうね。
 
 
 
また、このHemiculter leucisculusの仲間はクルターの仲間ですので
 
日本とも縁のある魚で、日本に生息する魚ではワタカと一番近い魚ですよね。
 
大陸とつながっていたころは日本にもご先祖様がいました。
 
化石などが見つかっているようです。
 
特にコイ科は咽頭歯という喉の奥にある歯が発達しており、
 
種によって特有の形があり、
 
しかも、とても硬いので現代にも化石として残るそうです。
 
 
記録としてはしっかりと残しましたが、
 
実際に一度見てみたい魚の一つですね。
 
 
 
まだまだ謎の多い大河メコンです!
 
 


2014年4月29日火曜日

バイヨン中学校訪問してきました

予定通り、
 
先ほどまでアンコールクラウ村にあるバイヨン中学校を訪問してきました。
 
今回は以前魚の授業をさせていただいた時に
 
NKHの撮影が重なったため、今回幸運にもDVDをみんなで見れるという訳です!
 
ラッキーでした!
 
 
久しぶりの訪問でしたが、
 
とても懐かしく感じましたね(笑)
 
 
DVDの上映会の前に
 
JSTのスタッフであり、うちの店の近くでお土産屋さんを経営しているタウリーさんが
 
ちょうど、遺跡修復に関する話をしていました。
 
 
とてもキレイなイラストを使ってわかりやすく説明していたので
 
みんな真剣に聞いていましたよ!
 
でも、後ろでじゃれつく悪ガキはいましたねー(笑)
 
国を問わず、どこにでもいるんですよね(笑)
 
 
そして、上映会も行われ、
 
みんな食い入るように見てくれました。
 
 
真剣に見ているかと思うと・・・
 
 
学校やみんなが映ると、大きな笑い声が響きました!
 
とても楽しく見させていただきました。
 
 
まだ新しい中学校ですが、
 
これから毎年子供たちが教育を受けて成長していく場所なんだと思うと、
 
応援したくなりますよね。
 
日本にいる頃は教育なんて考えたこともありませんでしたが、
 
カンボジアに来てからは教育がどれだけ大切かを痛感しています。
 
その中に少しでも入れることは光栄ですよね。
 
 
下の写真の奥に広がる森は
 
アンコール・トム遺跡群です。
 
その奥にバイヨン寺院などがあります。
 
 
帰りにアンコールワットの近くをバイクで通りました。
 
久しぶりのアンコールワット寺院をチラッと見させてもらいました。
 
パワーが充填されたようで元気が出ましたね!
 

 
そして、帰りにマンゴーもいただきました!!
 
今晩にでも冷やして食べよー!
 
 
今回JSTより今後の関わり方などについても
 
相談を受け、僕も何らかの形でこれからもみんなと
 
関わっていきたいなーと感じた1日でした。
 
魚を通した理科の授業や
 
子供向けの魚図鑑やポスターなど、
 
良い形が見つかると良いですよね。
 
これからが楽しみです。
 
 
 


2014年4月28日月曜日

明日はバイヨン中学校へ再訪

 
今年1月26日に放送されたNHKアジアに夢中という番組の中で
 
シェムリアップのアンコールクラウ村にあるバイヨン中学校で「魚の授業」をさせていただきました。
 
(もともとこの話をいただいていたのですが、偶然撮影と重なったのは幸運でした)
 
バイヨン中学校を建設・支援しているJSTの小出さんの企画で
 
明日、その時の番組を子供たちに通訳付きで映像を見せて
 
話をしてくださるようです。
 
 
そこへ僕も招待してくださったので
 
明日はバイヨン中学校を再訪問してきます!!
 
 
 
なんだか緊張してしまいそうですが(笑)、
 
楽しい時間になるようにしたいですね。
 
 
また明日の様子をご報告いたします!!
 


2014年4月26日土曜日

ダトニオプロジェクト86(研究室の池)


研究室の池を先日少し改良しました。
 
今までは3つに仕切っていた池を2つにして
 
大型魚(ダトニオとアロワナ)がゆったりと泳げるようにしてみました。
 
 
小さな仕切りにはオスフロとコイ科のバルブたちがいます。
 
さすがに、一緒にすると食べてしまうのでできません。
 
 
そして今日は朝からずっと連載している「FISH EYE FILE」の記事を書きました。
 
〆切が5月なのですが、5月は希少魚保全のプロジェクトなどもあり、
 
フィールドに行く予定なので、できることはしっかりと終わらせないと、
 
あとで大変な事になっちゃいますからね(笑)
 
 
元々、人様に見せる記事なんて書けないし、
 
表現が上手ではないので
 
この話をもらって以来、早めに書いておいて、
 
1か月くらい寝かせて再度追い込みで細かいところを校正していくやり方をとっています。
 
いきなり書き上げた原稿は後で見直すと、
 
とんでもない状態ですからね。
 
ただでさえできないので、慎重にやらないといけないですよね。
 
 
それにしても、壁面が汚いですねー
 
このくらいは魚にとってはちょうど良いのかもしれませんが
 
気になってしまいました。水族館だったらアウトですよね(笑)
 
以前はコイのエリアにアルジーターを入れていたのですが、
 
その範囲だけコケひとつ発生せず、いつもきれいでした。
 
やっぱり効果あるんですね~!
 
ちなみに入れている種はどちらかというと好きな
 
Gyrinocheilus aymonieriの方です。
 
 
 
そして、2m水槽で飼育管理していたダトニオを1尾追加して
 
数日経ちましたが、今のところケンカもなく良好です。
 
今年のダトニオはどうやらお腹に卵を抱えなかったようです。
 
来年は外の池で早めに飼育を始め、
 
エサもしっかり与えて状態を少しでも良い方向へ持っていけるように
 
改善していかないといけないと思っています。
 

まだまだこれからですね。
 
コツコツやります!

2014年4月25日金曜日

アシナシイモリ

今日も魚のデータ整理で1日終わりそうです(笑)
 
まだまだ先は長いので息切れしないようにコツコツやります!!
 
 
そんな中、偶然見つけた写真があったのでご紹介いたします!!
 
 
 
もう4年ほど前の事ですが、
 
モンドルキリの山中で調査をした時に麓の村を流れる水路で
 
なんとも気持ち悪い生きものを採ったんです!
 
 
あまりにも突然だったので、
 
他にも水中にいるんじゃないか?と思ってしまい、
 
慌てて水から上がった思い出があります(笑)
 
 
この生きもの!採った時はヒルかと思ったのですが、
 
網の中をのぞき込むと、なんと!
 
目があるんです!!
 
しかも、口も・・・!!
 
 
ホントにおったまげてしまいました(笑)
 
たぶん20-30分くらい眺めていたと思います(笑)
 
 
そんな生きものでしたが、
 
その後、町に帰って両生・爬虫類の専門家の知り合いに写真を送ったところ、
 
「アシナシイモリ」の仲間だとわかりました。
 
 
アシナシイモリはインド、東南アジア、南米、アフリカの一部に生息するため、
 
パンゲアとの関連がある生きものだそうです。
 
また、両生類で見ての通り足や手がありませんので、
 
無足目というグループに属す生きものです。
 
結局、最後まで一度もこのアシナシイモリを直接触ることができませんでした(笑)
 
僕は意外と気持ち悪い系のやつらが苦手です(苦)
 
 
今となってはそれほど怖くありませんが(笑)
 
知らなかったらやっぱり怖いですよね?
 
毒とか持っていたら大変ですからね。
 
ホントにこの色と形はコワイデス。
 
 
 
またいつかこの仲間に出会うかもしれませんねー
 
今度はびっくりしないといいのですが・・・
 


2014年4月22日火曜日

魚研究

 
連日、標本の整理作業が続いています(笑)
 
昨年から整理しきれていないものを
 
片っ端から調べています。
 
 
特に最近はハゼ、ハゼ、ハゼ・・・
 
ハゼは難しいです・・・
 
 
 
もう少し早くやっておけば・・・
 
 
たまると、作業に入るのが億劫になってしまうんですよね~
 
 
でも、今年はこれまで以上にいろいろな魚を見ながら、
 
多くの作業が予定されているので
 
これをしっかりとやっておかないと先に進めません(苦)!
 
 
そんな中、今日も顕微鏡が役に立ちました!
 
これまで使っていたものと比べると
 
作業がしやすいので有難いです。
 
 
この写真のカレイは明日以降の仕事ですが、
 
何とか同定できると良いですよね。
 
 
こうした作業をしていると、
 
ホントにコツコツやるっていう事がいかに大切かを
 
痛感しています(笑)
 
 
もっと気張らなっ!
 

2014年4月20日日曜日

ダトニオプロジェクト85(CANDY ANGKORのダトニオあめ2)

 
昨日もアップしましたが、
 
シェムリアップの新しいお土産屋さん「CANDY ANGKOR」でアメ職人をされている
 
やよいさんがダトニオのアメちゃんを試作中です。(詳細はダトニオプロジェクト84より)
 
 
あの写真をアップしたあと、
 
この日もダトニオアメをつくる練習をする!ということで、見学させてもらいました。
 
 
 
 
僕が見た感じでは以下の様な印象を持ちました!
 
まず、飴をつくり、それぞれに合った色や味を使う量を計算してつくります。
 
 
それぞれの色がついたアメをヘラでとりわけながら
 
ちょうど良い硬さや色合いに練っていきます。
 
こちらはボディーとなる黄色い部分ですね。
 
 
こちらは一番外側にくる青い部分。
 
すごく熱くて柔らかいです。
 
白は専用のステン棒にひっかけて念入りに練っていきます。
 
職人技ですよね。スゴイデス。
 
今回は試作なので量は少ないですが、
 
定番の模様は5kgくらいの塊で作るとか・・・
 
 
作業テーブルの片隅にダトニオの見本がありました!
 
ウレシイデスね。
 
ボディーの黄色と、
 
バンドとなる茶色?を重ねていきます。
 
 
同時にもう一人が顔を担当し、並行して作業を進めていきます。
 
こちらは真ん中に黒い目、
 
そのまわりに白い縁取り、
 
そしてそのまわりはボディーと同じ黄色
 
ボディーも組みあがってきました!
 
同じく、しっぽも作り、
 
 
背びれは三角のトゲトゲを3つ!
 
へこんだ部分はまわりの青と同じ色で埋めていきます。
 
 
あたま、からだ、背びれ、しっぽを組み上げ、
 
隙間を青で埋めていきながら、
 
 
最後は青で巻きます。
 
 
すでに、断面にはダトニオの姿がありました!!
 
これを見た時、感動しちゃいました!!
 
ここからは他の飴たちと同じように
 
職人さんがアメを伸ばしていき、
 
適当な長さにカットしていきます。
 
 
出来立てはまだ柔らかいので、
 
長いアメ棒をゴロゴロと転がしながら整えていきます(たぶん)
 
そしてアメちゃんのカットです!
 
今日は1本ずつのカットでしたが
 
職人のブンテン!
 
彼はギャラリーが多いと燃える性格らしく、
 
一度に2-3本一緒にカットするスゴ技も披露することもあるので、
 
職人さんたちの技もお越しいただいた際にはぜひ!ご覧ください!!
 

 
これを見ていて思ったのは、
 
まさに「ダニニオの産卵」デス!
 
次から次へとダトニオが生まれてくる様子はなんだか身近に感じるシーンでした。
 
この日、生まれたダトニオの子供たち。
 
こんな風にいつか僕もダトを増やしたいですね。
 
 
魚のダトニオと同様に、
 
やっぱりアメのダトニオもひとつひとつ模様やガラが違うので、
 
それぞれ違った魚が見れるのでとても感動しました!!
 
この後、もう一度やよいさんたちがダトニオアメをつくってくれました。
 
忙しい中、大変な作業をさせてしまったのでは?と申し訳ない気持ちでしたが、
 
さすが、職人さん魂は違いますね!
 
ストイックに追い求めて追及していく姿はカッコよかったです!!
 
 
左がやよいさん、右が頼れるカンボジアアメ職人のシナー
 
 
今まではダトニオのヒレを白で作っていたのですが、
 
色が消えてしまうことが多いようなので
 
やよいさんの要望で黒にしようということに・・・
 
実はカンボジア産のダトニオは鰭が黒いものが多いんですよね・・・
 
まさに!ぴったりです!!
 
やよいさんがアメ職人として考えた結果と実際のダトニオの形態の条件が重なるなんて・・・
 
 なにもしていない僕ですが、
 
スゴク嬉しかったですねー
 
そして、今日の最後に仕上がったダトニオアメです。
 
前回までの作品に比べると、
 
鰭が黒くなったことでより魚の輪郭がはっきりしてきたと思いました!
 
まだまだ試行錯誤は続くと思いますが、
 
魚バカとしては応援していきたいですね。