2012年5月2日水曜日

市場の魚シリーズ12(レッドコロソマ)

久しぶりの市場シリーズです。

今回は12話目ですね。

今日は移入種のレッドコロソマです。

この魚はもちろんインドシナ原産の種ではなくはるか遠い南米に住む魚ですよね。

そんな魚が今ではカンボジアにもいるんです!!


初めて僕が見つけたのは今から9年前です。

トンレサップ川のほとりで漁師さんの採った魚をあさっていた時でした。

もう何日も通いつめていたので大概の漁師さんは僕の顔を覚えていてくれて

珍しそうな魚が採れると呼んでくれました。

そんな時に小さな少年が僕を引っ張って何処かへ連れて行こうとするんです。

仕方なくついていくと、少年の父親の船が目の前にありました。

父親は僕と眼が合うとすぐに船底のイケスから1尾の元気な魚を取り出したんです。

それがレッドコロソマだったんです。

初めはエッ!!と思いましたが、興奮して結構高値で買ってしまいました。


それまでは市場でも見たことのない魚だったのですが、

その年から徐々に各地の市場で見る機会が増え、

今では普通に見られる種になりました。

市場で売られる個体群はほぼ100%養殖個体ですが、

初めて採ったこの1個体は完全に数カ月以上はトンレサップ川で生き抜いた個体です。

写真の魚はみな尾びれが丸く小さいのですが、

その個体は大きなピンピンの鰭をもっていました。


 
わかりやすい例えではニジマスなんかがそうですね。

大きな湖や河川で釣れるニジマスは鰭がピンピンにはっていますよね。
釣り人にはたまらないポイントですよね。
でも、ひとつ気がかりなのは消費者であるカンボジア人はこの魚がどこから来た魚か

知らない事です。基本的にカンボジアでは美味しくて安ければ

どんな魚でも食べますし、人気があります。


本来、カンボジアは世界でも有数の淡水魚の水揚げ高をもつ国なので、

このような移入種を利用しなくても十分に国内で消費するだけの資源を持った国です。


今後はこうした問題が大きくなることは必至です。

またこうした魚が天然水域に進入する事でダトニオにも少なからず影響が
あるのでは?と考えてしまいます。

直接は関係なさそうな魚でも本来いないはずの生きものがそこへ来るという事は

必ず影響があるはずですからね。

日本では種の多様性を重要視する機会が増えつつありますが、

カンボジアではそれよりも人々の生活向上に目が向けられるため

きっと悪い例の日本と同じような道をたどる可能性が高いですね。

だからこそ、少しでもアクションを起こさなくてはいけないんですよね!!

これまでの世界の歴史を見てきてもわかるように

改革や革命など、大きなことを成し遂げる本当に最初は

ほんの一握りの人達の熱意や意志から始まった事ばかりですからね。

これからも少しずつだけれどがんばらないといけませんね。

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